14年ぶり狂犬病の輸入感染者の報告
- 予防
日中の気温上昇とマスクによる息苦しさのダブルパンチをなんとかかいくぐりながら、皆様元気にお過ごしでしょうか?
フィラリア予防をはじめ、この時期に来られる患者様にはご不便をおかけしておりますが、皆様のご理解とご協力を賜り例年通り診療業務を行うことができております。誠にありがとうございます。
さて。
日曜日にネットニュースで気になる記事を見つけて、詳細情報を探していたのですが、翌月曜日に山口県獣医師会の方から注意喚起が来ていたのでこの場でご紹介したいと思います。
フィリピンからの渡航者が国内で狂犬病発症
過去にも1970年にはネパールで1人、2006年には同フィリピンにて2人、いづれも旅行中に犬に噛まれて帰国しその後発症、残念ながら亡くなられています。
今回は
昨年9月に犬に足首を噛まれて医療機関を受診しないまま来日された方が狂犬病と思われる症状を主訴に国内の医療機関を受診され、検査にて感染を確認。現在治療中との事のようです。
こうした海外で感染して国内で発症する感染事例の事を輸入感染と言うみたいですね…そうゆう言葉があるとは知りませんでした(–;)
日本では1957年に猫の狂犬病発生を最後に動物では国内での狂犬病発生はありません。狂犬病清浄国となって半世紀以上経ちますが海外では今日でも依然発生している人獣共通感染症です。
大学時代に習った狂犬病といえば〝弾丸状のウイルス〟〝恐水症〟〝感染動物に噛まれて伝染る〟などいろいろセンセーショナルな印象が多いのですが、その中でも『末期症状化したら100%の致死率』という文言を目の当たりにして非常に衝撃的だったのを思い出します。
世の中絶対が言いきれることの方が圧倒的に少ないこの時代に、それも教科書に100%と書いてあることの恐ろしさを非常に生々しく感じました。
それから科学や医療が飛躍的に進歩した令和の今でもそこが覆って居ない病気なのです。
やっぱりおそろしい。。。
しかし、感染→潜伏期→発症にはある程度の期間がある事もわかっており(咬まれた場所が頭部より遠ければ遠いほど潜伏期間は長い)、発症に至るまでに適切な治療を受ければ発症を防ぐ事も可能なワクチンも存在します。
どうぞ、この新型コロナの終息が見事叶いまた海外旅行が自由にできる世の中に戻ったとしても、
滞在先の国は狂犬病をはじめとした感染症がどのように流行している土地なのかを十分に調べ、
必要な予防接種をされてからお出かけいただきたいと思います。
もちろん、不用意に動物に近づかないこと!
それから万が一咬まれたらすぐ医療機関に相談すること!!
『厚生労働省資料抜粋』
そして飼い主さまは、毎年狂犬病予防接種を行い、この悲しい感染症に愛犬が関わることの無いようにしてあげてください。
来月は新型コロナで延期されていた下松市の集団予防注射も行われます。同市内でまだの方は是非ご活用ください。
これから先も日本が狂犬病清浄国でありつづけますように。
そして感染された方がどうぞ快方にむかわれますように。
最後に
フィラリア予防開始まであと4日!!
まだお薬がお手元に無い方はお早めにご来院ください。もちろん、電話予約も忘れずに(。・Д・。)ノ
三谷獣医科病院
副院長 三谷藍